コインチェックから出金できる目途は立たず。プレスに見る「保全」と「保管」の間
コインチェックからの日本円出金についてのプレスが2018年2月3日に発表されました。非常に短い文章ですが、丁寧に読んでいきましょう。
日本円出金の再開の見通しについて | コインチェック株式会社
第1パラグラフ
まずは、第1パラグラフから。
2018年1月30日付のリリースでご案内をしております通り、当社では現在、日本円出金に伴う技術的な安全性等について、確認・検証中であり、再開に向けた準備を進めております。外部専門家の協力も得つつ行っている確認・検証を踏まえ、皆様には日本円出金の再開時期をお知らせいたします。
これを読む限りでは、日本円の出金ができる時期は未だ明確になっていません。
「日本円出金に伴う技術的な安全性等」というのが何を指しているのかは分かりません。
日本円は指定の銀行に預けてあるので、その指示をしたらいいだけだと思うのですが、どのあたりに問題があるのでしょうか。この文章だけだとわかりません。
これは想像の域を出ないですが、出金OKになった際に、今回の一件で仮想通貨に嫌気がさした投資家層が一斉に売却をし現金化させる状況が発生するというのは想像に難くないです。その際に出金指示がパンクするということを想定しているのでしょうか。
第2パラグラフ
問題の第2パラグラフです。
なお、お客様がアカウントに保有している日本円につきましては、金融機関の顧客専用口座に保全されております。また、お客様がアカウントに保有している仮想通貨(BTC/ETH/ETC/LSK/FCT/XMR/REP/XRP/ZEC/LTC/DASH/BCH)につきましても、ホットウォレットから退避し、コールドウォレット等に保管しております。
これは2つのポイントがあります。
日本円は「保全」
まずは、日本円は金融機関の顧客専用口座にあるので「大丈夫」だということです。
こうした状況になると「保全」という言葉は非常に安心します。
さすがに銀行の口座にある現金を本人の支持なくしては外部が触ることはできないでしょうから、預けてあった(仮想通貨を購入していなかった)日本円は大丈夫ということです。
まあ、当たり前の話です。
仮想通貨は「保管」
問題は次です。
仮想通貨がホットウォレットからコールドウォレットに移行され、「保管」されているということだけが記載されております。
ここでは「保全」という言葉は使われていません。
NEMは盗難にあったかもしれませんが、それ以外の仮想通貨は問題ないのであれば、「すべて退避し、保管している」という一言がかけそうなものですが、そこは明言していません。
次なる展開とは
NHKでも報道している通り、金融庁の目下のポイントは取引所と顧客資産の「分別管理」です。
もしかすると、顧客と自己の資産の分別ができておらず、円出金開始時に顧客が保有していたであろう仮想通貨をコインチェックが準備し直さなければならないとすれば、上記のような表現になるのではないでしょうか。
コインチェックへの金融庁立ち入りのポイント - 米国株・BTC/アルトコイン他仮想通貨・海外ETF初心者の投資入門
仮にそういったことだとすれば、コインチェックは出金再開時には仮想通貨を顧客が持っていた分だけ用意しておく必要があります。
そうなると一部の仮想通貨に事前の買いが入ることも考えられます。
問題はその資金がコインチェック側にあるかどうかということになります。