米国株・日本株初心者でもすぐわかる株価と金利入門
株価と金利がわかる株初心者入門知識
株式投資をはじめたばかりの人にとって、株価と金利の関係性はピンとこないですよね。
しかし、株式投資をはじめるにあたって、その関係性を理解しておくことは重要です。
今回は、論理的な背景はさておき、初心者が気を付けておくべきことを解説していきます。
目次
- 株価と金利の関係
- 金利はどのように変わるのか
- 金利を動かすこと、金融政策は一筋縄ではいかない-デフレの場合
- 金利はだれが決めるのかー日銀と金融政策決定会合&FRBとFOMC
- 市場関係者が最大の興味を持っているのは米国の利上げタイミング
- まとめ
1.株価と金利の関係
お忙しい方もいらっしゃると思うので、結論から言います。
- 金利が上がると、株価は下落する。
- 金利が下がると、株価は上昇する。
これだけです。
ただし、これは短期的な一面といえます。
金利は、変化したその一瞬だけではなく、そのあとにも影響を及ぼすことになります。
ここでは、話が複雑になるので割愛しますが、とりあえず、上で示した金利と株価の関係は頭に入れておいてください。
2.金利はどのように変わるのか
さて、金利が変わる状況とはどのような場合でしょうか。
たとえば、中央銀行である日本銀行やFRB(米国の中央銀行)、ECB(欧州の中央銀行)が景気の見通しを変えているというような状況です。
仮に、中央銀行が、現在景気が良くなりつつあり、物価が上昇するペースが上がってきているときに、少し景気を冷ましておいた方が良いな、というようなときは金利を引き下げます。それを「利上げ」といいます。
金利を上昇させることで、資金調達のコストを上げることができ、個人や企業が資金を調達するのが難しくなります。こうしたメカニズムにより、物価上昇を抑えるということができます。
また、景気が減速して、少し景気を上向きにさせたいな、と思うようなときは中央銀行は金利を引き下げます。これを「利下げ」といいます。
金利を引き下げることで、資金調達のコストを引き下げることができ、個人や企業が資金調達をしやすくなります。個人であれば、住宅や自動車を積極的でローンで購入するかもしれませんし、企業であれば、設備投資をすることで生産能力を増やそうとするかもしれません。こうした投資行動により、景気が浮揚するきっかけを与えるのです。
このように、金利を上下させたり、資金供給量を調整することで景気や物価に対して影響を与えることを「金融政策」と呼びます。
余談ですが、公共投資など、資金の裏付けが税金などである場合には、「財政政策」と呼びますが、今回は説明は省きます。
3.金利を動かすこと、金融政策は一筋縄ではいかない-デフレの場合
ただし、経済は難しいもので、人間が人為的に行動をして思ったようにいくことばかりではありません。
利下げをしても簡単に景気が浮揚したり、下落する物価を抑えることができないこともあります。それが、日本が1990年代半ばからアベノミクスが始まるまで経験したデフレーション、デフレです。実は現在の欧州も似たような状況にあります。まともに、金利のメカニズム(働き)が効きそうなのは米国くらいなものです。
少し専門的なのですが、金利水準がゼロの状況でどのように景気を浮揚させるかなのですが、そこは中央銀行は時間を味方につけるという方法を身につけました。
金利ゼロをいつまで続けるとか、お金をいつまでに今の量から何倍にするとか、金利やお金の供給量に時間軸を加えることで、景気にインパクトを与えようとすることがあります。これを「時間軸政策」と呼んだりもします。
4.金利はだれが決めるのかー日銀と金融政策決定会合&FRBとFOMC
金利は、日本の中央銀行である日本銀行が、米国ではFederal Reserve Board(FRB)が金利を決定します。
その実質決定機関は、日本銀行の場合であれば、金融政策決定会合で決まり、米国の場合であれば、Federal Open Market Committee(FOMC)で決まります。
金融政策決定会合のスケジュールは年間分がすでに決まっており、誰でも確認することができます。また、金融政策決定会合の1か月後に議事要旨が公開されるので、市場関係者はその内容に注目します。
FOMCのスケジュールも日銀同様に公開されていて、スケジュールとともにステイトメントも公開されています。ステイトメントも以前のFRB議長がグリーンスパン氏であった際には、「文学」とも言われるように難解な表現であったこともあるので、株初心者レベルでは気にする必要はないのですが、こうした仕組みで金利が決定されているということは頭に入れておくことは損がないと思います。
5.市場関係者が最大の興味を持っているのは米国の利上げタイミング
先ほど、金利による金融政策でまともに機能しているのが米国だけです。世界の市場関係者が最も関心を寄せているのが米国の利上げタイミングです。
現在は(2015年8月現在)、中国をきっかけとして世界同時株価下落となり、これまで言われていた2015年9月の利上げは難しくなっていると思います。
しかし、いずれにせよ米国の景気が良くなり続けるのであれば、いずれは金利を引き上げることになるのですが、市場はしばらく利上げを考えることを忘れたいという気になっているのではないかとみています。
6.まとめ
株価と金利に関して、結論と少し詳しい解説をしてみましたが、いかがだったでしょうか。
基本を頭に入れながら、
米国株に投資をされている場合には、ジャネット・イエレンFRB議長の発言には注目して損はないですし、日本株に投資をされている場合には、金融政策決定会合での黒田東彦総裁の発言が重要となります。
金利もそれほど頻繁に変わるものではないので、都度、意識をするような習慣をつける程度でも大丈夫です。